近年、ますます名前が広まってきている「ガレットデロワ」。
その人気の秘密は綺麗な模様と中身にあります。
実は模様とその中身の”フェーブ”と呼ばれる人形には、大切な意味が込められているのをご存知でしょうか?
今回は、手土産としても評判の高いガレットデロワの特徴や歴史、模様やフェーブの意味について解説していきます。
「ガレット・デ・ロワ」とは?特徴や中身のフェーブに込められた意味は?

「ガレット・デ・ロワ(Galette des Rois)」とは、フランスの伝統菓子です。
織り込んだパイ生地の中にアーモンドクリームが入っている、シンプルな焼き菓子となっています。
ガレットデロワは表面の飾り模様が特徴的ですが、さらに特徴的なのはその中身!
ガレットデロワの中には“フェーブ”という陶器で作られた小さな豆人形が入っています。
フェーブにはとある意味が込められているのですが、ご存知でしょうか?
ガレットデロワを切り分けた時にフェーブ(豆人形)が入っていた人は、購入した時についてくる紙製の王冠を被り、王様(王妃様)として祝福を受け、その一年間を幸せに過ごせるとされています。
伝統では、家族で集まった中で一番小さな子どもに目隠しをし、大人が切り分けた後、その子どもが誰にどれを配るかを指名するようです。
フェーブコレクターもおり、各お店限定のフェーブを巡って食べ歩く人もいるほど!
フェーブはフランス語で「そら豆」を意味しており、元々はガレットデロワの中身にはそら豆が使われていました。
いつしか陶器の豆人形に変わりましたが、そら豆の名残からそのままフェーブと呼ばれています。
ただ、近年は安全性を考慮してフェーブの代わりにアーモンドを入れることが多くなってきているようです。
ちなみに、一般的に知られているガレットデロワは主にフランス北部で見られるものです。
フランス南部では、オレンジフラワーウォーターで風味付けしたブリオッシュ「ガトー・デ・ロワ(Gateau des Rois)」で祝うのが、エピファニーの習慣となっているようです。
フランスの伝統菓子「ガレットデロワ」の起源

ガレットデロワはいつ食べるもの?歴史や伝統
ガレットデロワは、1月6日にキリスト教の祝日である「エピファニー(Epiphanie)」を祝って食べる、フランスの伝統菓子です。
エピファニーとは日本語で「公現節」といい、「知らせる」「示す」「明らかにする」といった意味合いがあります。
聖書によると、12月25日に生まれたイエス・キリストもとを、その12日後の1月6日に「東方三賢人(東方の三博士)」と呼ばれる三人の王様が訪れ、キリストの生誕を“世に知らせ”ました。
この日を祝日の「エピファニー」とし、ガレットデロワでお祝いするようになったのです。
ガレットデロワが食べられるようになった経緯
ガレットデロワの起源は、古代ローマの農業神サートゥルヌスの祭典「サートゥルナーリア」にあります。
サートゥルナーリアは毎年12月25日前後に行われ、社会的役割を入れ替えた主従逆転を採用し、派手にご馳走を用意したり歌って踊ったりと無礼講でバカ騒ぎをしていました。
そこでは、豆を一つ入れたケーキが提供され、豆が当たった出席者は”宴の王”となり願いを叶えられるという習わしがありました。
これがガレットデロワとすごく似ており、元となったとされています。
サートゥルナーリアはじきに衰退していきましたが、12月25日のお祭り期間が徐々にエピファニーと合体され、いつしか置換されていったのです。
昔は当日のみのお祝いでしたが、現在は1月中をガレットデロワを食べる習慣とし、ケーキ屋さんやパン屋さんなど、さまざま店舗で販売しています。
家族や親戚、友人たちが集まって食べ分けており、最近では日本でもよくガレットデロワを見かけるようになっています。
ガレットデロワの名前の意味とは?

ガレットデロワは直訳すると「王様のガレット」ですので、“王様のお菓子”と言われることが多いです。
「ロワ」は、先ほどご紹介した「東方三賢人(東方の三博士)」と呼ばれる三人の王様を指しますので、ガレットデロワがエピファニー(Epiphanie)」を祝うためのお菓子であることが分かりますね。
そして、ガレットデロワの「ガレット(Galette)」とは、平たく焼いた焼き菓子のことを言います。
「ガレット・ブルトンヌ(Galette Bretonne)」は、聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?
まさに、平たく焼いた焼き菓子の代表ですね。
ガレットブルトンヌはほんのり甘いですが、ガレットは他にも甘くないものも存在するそうです。
ガレットの起源は、新石器時代に熱した医師の上で穀物の粥を焼いたことにあるのだそうで、最も古い菓子の形態とされています。
ガレットデロワの模様(レイエ)には意味がある!

ガレットデロワの表面には、「レイエ」という綺麗な模様が描かれています。
模様のバリエーションは大きく4つあり、それぞれに素敵な意味が込められているのです。
ここでは、ガレットデロワの模様の意味を解説していきます。
【①「太陽模様」に込められた意味】
生地の中心から外側に向かって放射線状に描かれた渦巻き模様は、太陽を表しています。
太陽は光と熱を供給し、万物を照らす生命の源であることから、ガレットデロワの太陽模様には「生命力」という意味が込められています。
【②「ひまわり模様」に込められた意味】
常に太陽を向いて咲く格子状のひまわり模様は、神に救いを求めて祈りを捧げる人々の姿に似ています。
このことから、ガレットデロワのひまわり模様には「忠誠」や「栄光」という意味が込められています。
【③「麦の穂模様」に込められた意味】
縦方向に連なった矢羽根模様は、麦の穂を表しています。
麦の穂は豊穣の神が宿る依り代となることから、ガレットデロワの麦の穂模様には「豊穣」や「生命」を象徴するものという意味が込められています。
【④「月桂樹模様」に込められた意味】
葉っぱの月桂樹模様は、古来より太陽神アポロンの聖樹とされています。
月桂樹で作った冠は、栄冠や勝者に捧げるシンボルであることから、ガレットデロワの月桂樹模様には「勝利」の意味が込められています。
このように、模様によって縁起の良い意味が込められています。
また、同じ模様でもお店によってデザインにアレンジを加えているのも魅力です。
ガレットデロワを購入するときは、ぜひ模様にも注目してみてはいかがでしょうか?
ガレットデロワと「ピティヴィエ」の違いは何?

ガレットデロワと同じく、フランスの伝統菓子のひとつに「ピティヴィエ」という焼き菓子があります。
ピティヴィエとは、アーモンドクリームをパイ生地で包んで焼き上げること、そして表面に模様を入れることから、ガレットデロワと混同されることがあります。
しかしピティヴィエは、1月のみ食べるガレットデロワと異なり、一年を通して食べられるお菓子です。
また表面は、フランス語で「rosace(ロザス:バラ模様)」と呼ばれる、放射線状の模様1種類のみ!
そして、中にフェーブは入っていません。
このように、ガレットデロワとは模様や食べる時期、フェーブの有無などにより、明確に違いがあるのです。
まとめ
フランスの伝統菓子「ガレットデロワ」についてご紹介しました。
ガレットデロワの模様や中身のフェーブには、それぞれ素敵な意味合いがあります。
フランスでは現在、1月中は店頭に並んでおり、日本でもケーキ屋さんやパン屋さんで見かけるようになってきました。
もし気になった方は、ぜひ模様の意味も気にしながら購入してみてはいかがでしょうか?