代表的な香り7種類とそれぞれの特徴・効果

香りは、さまざまな香りをブレンドさせることで多種多様なものになります。
そして、そのベースとなる系統は、大きく7種類に分けられますのでご紹介します。
フローラル系

「フローラル系」は、誰もが想像できる、香りの中でも最もポピュラーなお花の香りです。
花を抽出した万人受けしやすい香りで、特に女性から長年愛されてきました。
ローズ、ラベンダー、ジャスミン、サクラなど、特定の花をイメージして作られることが多い印象です。
【香りの特徴】
・優しく上品
・華やか
【香りの効果】
・癒し
・明るい気持ちになる
・安眠
柑橘(シトラス)系

「柑橘(シトラス)系」は、オレンジ、グレープフルーツ、ゆず、レモンなどの柑橘類の果物をイメージする香りです。
他にもライムやベルガモット、マンダリンなども香料に使われます。
少し甘めな香りと少し苦味を感じる香りに分けられますが、男女どちらでも自然に纏うことができ、爽やかな印象を与えます。
特に暑い夏の時期や、スポーツやアクティビティといった活動的な場面に良く合いますよ。
【香りの特徴】
・爽やか(フレッシュ)
・シャキッと
・若々しい
【香りの効果】
・目覚め
・リフレッシュ
・元気になる
樹脂系

「樹脂系」は木の樹脂から抽出した、重厚感と温かみのある香りです。
また同時に、神秘的な印象も感じさせ、お寺や品のあるお香を思わせます。
ミルラやベンゾイン、フランキンセンスなどが代表例で、安心感を得たいときや、瞑想時に役割を果たしやすい香りとなっています。
甘さの中にスモーキーさや、木・柑橘系などが混ざり、不思議な魅力ある香りです。
【香りの特徴】
・濃厚
・穏やか
【香りの効果】
・心身の安定、安らぎ
・リラックス
樹木(ウッディ)系

「樹木(ウッディ)系」は、小枝などの樹木をイメージした、落ち着いていて温かみのある香りです。
シダーウッド、サンダルウッドという名前は聞いたことがある方もいるかもしれません。
他にも、ユーカリ、ヒノキ、ジュニパーベリー、パチュリ、ベチバーなども代表的な香料の一つで、これらの香りを纏うと、まるで森林浴をしているような気持になります。
少しワイルドで渋みもあるため、大人の男性に合いますよ◎
【香りの特徴】
・落ち着き
・知的
・安心感
・男らしさ
【香りの効果】
・リラックス
・ストレス緩和
ハーブ系

「ハーブ系」は、葉や草などのような植物本来のみずみずしい印象を受ける香りです。
ペパーミント、バジル、ローズマリー、タイムなどが代表例となっていて、爽やかでスッキリした印象があります。
甘さや香水感がないので一年を通して使いやすく、苦手に感じる人も少ないことから、どの場面でも纏いやすいのが魅力です。
【香りの特徴】
・爽やか
・青々しい
・みずみずしい
・さっぱり
【香りの効果】
・リフレッシュ
・集中力を高める
・疲労回復
スパイス系

「スパイス系」の香りには、その名の通りスパイスのようなピリッとした辛みを感じます。
ブラックペッパーやナツメグ、ピンクペッパーやカルダモン、クローブなどの香辛料が代表です。
また、シナモンやジンジャーもスパイスの香りに分類され、ユニセックスに適用できます。
個性的ですが、比較的挑戦しやすい香りですので、スタイリッシュを装いたい時や、秋冬に試してみてはいかがでしょうか?
【香りの特徴】
・異国風
・スパイスのような辛み
【香りの効果】
・心地よい刺激
・前向きな気持ち
・リラックス
・集中力
オリエンタル(エキゾチック)系

「オリエンタル(エキゾチック)系」は、中々イメージがつきにくい香りでしょう。
ムスク、カルダモン、イランイラン、アンバーという名前は、聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうか?
オリエンタル(エキゾチック)は、中東・アジアのお香やスパイスなどのように、少しクセのある独特な香りです。
普段使いや人と会う時にはハードルが高いという方は、初めは自宅で過ごすときやお部屋のアロマ、マッサージオイルなどで楽しんでみるのがおすすめです。
甘さをベースにしているため、就寝時の香水やディフューザーなどにも良いでしょう。
【香りの特徴】
・異国風
・エキゾチック
・ミステリアス
【香りの効果】
・リラックス
・落ち着き
・安眠
香りが記憶に残るのはなぜ?|プルースト効果

嗅いだことのある香りを嗅ぐと、ある特定の人や場面を思い出すことはありませんか?
例えでよくあるのが、「街中ですれ違った人の香りで、昔付き合っていた恋人を思い出した」というもの。
一定期間ずっと一緒にいた元カレ・元カノがよくつけていた香水は、記憶的にも特に印象に残るものなので、思い出しやすい香りとなるのでしょう。
こういった現象には、香りと人間の脳の”海馬”という部分が関係しているからなのです。
人間の五感の中で、香りを感じる嗅覚だけが、記憶を司る海馬へ直接的に信号を送ることができます。
嗅覚からインプットされた情報は、本能や喜怒哀楽などの感情を司る大脳辺縁系へと信号を送り、そこにある海馬が反応を起こします。
海馬は記憶の保管庫のような役割を担っていて、香りを察知するのとほぼ同時にその情報を見つけ出し、その時に感じた喜怒哀楽やその他の感情まで一緒に呼び起こす、という仕組みです。
そのため、私たち人間は過去に嗅いだことのある特定の香りを嗅ぐと、同時にその香りにまつわる記憶や感情が一瞬にして蘇るのです。
この現象のことを、“プルースト効果”と言います。
プルースト効果という名前は、フランスの作家のマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』という小説からきています。
彼の書いた小説の中で、「主人公がマドレーヌを紅茶に浸した際に、その香りから幼少時代を思い出す」、という場面をもとに名付けられたようです。
「香り」「薫り」「匂い」「臭い」の違い

日本語には、同じ発音や漢字でも、意味やちょっとしたニュアンスの違いによって使い分けられる言葉が、多数存在します。
みなさんは、「香り」「薫り」「匂い」「臭い」…違いを言えますか?
言葉にすると同じ「嗅ぐ」に分類するものでも、漢字で見た時に受ける印象が異なりますよね。
まずは、以下の表で4つの違いを見てみましょう。
【言葉】 | 【意味・印象】 |
香り | 良い香り。主に花・香水・アロマ・フレグランスなどに使用 |
薫り | 「どことなく匂う」肌で感じる感覚的・情緒的・比喩的な表現 |
匂い | 良い・悪いの意味を込めずに使用。生活する中で感じる匂い |
臭い | 良くない香り。臭いもの、不快なもの、悪い印象のものに使用 |
「香り」は、良い香りを表現するときに使用します。「女性の香り」「フローラルの香り」など、相手に良い印象・ポジティブな印象を与えます。
「薫り」は、言葉では明確に表すことのできない、感覚や比喩的に香りを伝えたい場合に用いられます。例えば「夏の薫り」「懐かしい薫り」「ロマンの薫り」といった表現です。
「匂い」はさまざまな見解がありますが、一般的に「それはどんな匂い?」「何かの匂いがする」といったように、良い悪いの意味を込めずに使用するという意見が多い印象です。一方で、生活する中で感じる「ごはんの匂い」「花の匂い」「雨の匂い」といった時にも使用されます。
「臭い」は、「下水が臭い」「生ゴミが臭い」「犯罪臭がする」といった、悪い印象の時に使用します。
そのため、ビジネスシーンで商品を紹介するときや、人の匂いを褒める時などは、避けた方が良いでしょう。
香りの選び方3選

好きな香りで選ぶ
香りを纏っている自分の気分が一番上がるのが、自分好きな香りで選ぶことです。
例えば、同じフローラル系でも、香りの種類は豊富に存在します。
そのため、まずはフローラル系や柑橘系など軸となる系統を決めて、そこから派生するさまざまな香りを試して自分の好みの香りを見つけてみましょう。
ただ、必ずしも自分好みの香りが、相手や場面で良い印象を与えるとは限りません。
自分の一番お気に入りの香りよりも、周りへの印象やTPOなどを優先すべき時もあるということを、念頭に置いて考えられると良いですね。
季節・シーン別で選ぶ
季節やシーンに合わせて選ぶのもおすすめです。
以下を参考にしてみてくださいね。
【季節別の例】
・春:フローラル系、柑橘系
・夏:柑橘系、ハーブ系
・秋:スパイス系、樹木系
・冬:樹脂系、スパイス系、オリエンタル系
【シーン別の例】
・リラックスしたい時:フローラル系、樹脂系、樹木系、オリエンタル系
・アウトドア:柑橘系、ハーブ系、スパイス系
・デート:フローラル系、オリエンタル系(ムスク、イランイランなど)、甘めな香り
・集中したい時:柑橘系、スパイス系、ハーブ系、樹木系
・自宅でのんびり:樹脂系、樹木系、オリエンタル系
与えたい(なりたい)印象で選ぶ
香りによって、相手に与える印象は異なります。
そのため、相手に与えたい(自分がなりたい)印象で決めるのも選び方の一つです。
・フェミニンな印象(女性らしさ):フローラル系
・明るく活発な印象:柑橘系
・セクシーな印象:オリエンタル系
・しっかり者、頼りがいのある印象:ハーブ系、スパイス系
・落ち着いた印象:樹脂系、樹木系、オリエンタル系
香りにまつわる資格6選

日本調香技術師検定
「日本調香技術師検定」とは、日本調香技術師検定協会(JAA日本アロマコーディネーター協会とは別団体)が主催し、香りに関する知識や技術を身につけた調香技術者を認定する民間資格です。
香料やアロマに関心のある人、美容・健康・商品開発などの分野で香りを活かしたい人向けに、知識と実践力を1~3級で評価します。
【おすすめな方】
・アロマや香水のプロになりたい人
・美容・アパレル・インテリア業界で「香り」を扱いたい人
・フレグランス商品の開発に関心のある人
・趣味として香りを学びたい人(3級は初心者向け)
【資格の活かし方】
・アロマショップや香水専門店での販売・アドバイス
・サロンやスパでの香り演出
・香り商品(ルームスプレー、香水、キャンドル等)の製作・販売
・セミナーやワークショップの開催
香水ソムリエ
「香水ソムリエ」は、日本フレグランス協会や一般社団法人日本香水協会などが主催する、民間資格です。
香水の専門知識を持ち、香りの選び方・使い方・提案ができるスペシャリストを認定します。
ワインのソムリエのように、香りに関する深い理解と提案力を持つ人のための資格として位置づけられています。
【おすすめな方】
・香水が好きで知識を深めたい人
・百貨店・コスメショップなどで香りを扱う仕事をしている人
・美容・ファッション業界で「香り」の知識を武器にしたい人
・自分や他人に似合う香水を選べるようになりたい人
【資格の活かし方】
・香水販売、接客での提案力向上
・アロマ、美容サロンでのメニューの追加
・SNSやブログで香水レビュー、香りコンサルを行う
・香水の開発やセレクトショップ運営
アロマテラピー検定
アロマ(精油)に関する基礎知識や活用法を身につけるための検定試験で、日本アロマ環境協会が実施している全国的に有名な民間資格です。
1級は応用レベル、2級は初心者向けとなっています。
【おすすめな方】
・精油や香りに興味のある初心者
・アロマを生活に取り入れたい人
・アロマセラピストや講師を目指す第一歩として
・サロンや福祉現場などで香りを活用したい人
【資格の活かし方】
・サロンでの癒し効果
・医療や福祉分野などのリラックス、睡眠改善など
・初心者向けのアロマ講座やワークショップ開催
・アロマ雑貨やコスメの開発、オリジナルブランドの立ち上げ
フレグランスセールススペシャリスト
「フレグランスセールススペシャリスト」は、一般社団法人日本フレグランス協会(JFA)が主催する資格です。
香水や香り商品を「販売・接客のプロ」として扱うための専門資格で、百貨店や専門店での香水販売に必要な知識とスキルを身につけることができます。
【おすすめな方】
・香水販売、アロマ販売の仕事をしている人
・香水が好きで専門知識を身につけたい人
・美容部員、ビューティーアドバイザーのスキルアップを目指す人
・香りのプロフェッショナルとして自信を持ちたい人
【資格の活かし方(仕事)】
・香水専門店、百貨店のフレグランスコーナー
・化粧品、ビューティー業界での香りアドバイザー
・ブランド香水の販売、商品説明
・セミナー講師、フレグランス講座開催
臭気判定士
「臭気判定士」は、環境省が所管している、臭いを客観的に評価・判定する専門家を認定する唯一の資格です。
臭気判定士は「臭いの法律的な測定」や「臭い対策の専門職」として、悪臭の強さを五感(嗅覚)や機器を使って測定し、数値化・報告する業務を行います。
他の資格とは違い”悪臭”に関する資格のため、日々の体調管理や嗅覚の健康維持が大切です。
【おすすめな方】
・環境、衛生、建設、工場管理の仕事をしている人
・においに敏感でそれを仕事に活かしたい人
・悪臭対策や脱臭技術の専門家になりたい人
・国家資格として信頼ある専門スキルを身につけたい人
【資格の活かし方】
フレーバー・フレグランス検定
「フレーバー・フレグランス検定」は、日本フレーバー・フレグランス学会が主催する、香りや味(=フレーバー)に関する幅広い知識を問う検定試験です。
香料業界に携わる人の基礎力の証明や知識の整理に使え、香料・化粧品・食品などの業界に関心のある人や、香りに興味のある一般の方も対象としています。
実務者向けの1級と、初級~中級者向けの2級に分けられます。
【おすすめな方】
・香料、食品、化粧品メーカーで働く人
・香水、アロマに興味がある学生や社会人
・香料業界に就職、転職したい人
・調香師、商品開発者、研究職を目指す人
【資格の活かし方(仕事)】
・食品、飲料業界での風味調整、香味設計や開発
・フレグランスの開発
・香りや味の感じ方、言葉での表現力がつく
・フレグランス関連の営業や販売で、より明確に言語化できる
まとめ
いかがでしたか?
香りの7種類と、それにまつわるさまざまな疑問について解説しました。
香りはリラックスや気分の向上など、自分の気持ちに良い影響を与えたり、免疫力や記憶力などの身体的なことにも良い効果を与えたりします。
ぜひ、お気に入りの薫りを見つけて、日常に取り入れてみましょう!